1stオリジナルアルバム「Keep on groovin’」をリリース。 地元新潟を拠点に活動するDJ KAIインタビュー

ハウス・テクノDJとして地元新潟を拠点に活動するKAI。DJ歴25年を迎えた今年、自身が主宰する「ONEWORD RECORDS」から1stオリジナルアルバム「Keep on groovin’」を発表。2枚組CDには、オリジナル曲に加え、KO KIMURA、SUGIURUMNなどとの共作を含む全24曲が収録されている。今回はリリースにあたり、制作への想いについて聞いた。

アルバムを制作しようと思ったキッカケを教えてください。

個人名義で初めてのリリースは2003年、2009年よりユニット「PHAN PERSIE」での活動を始めて10年経ち、Remixや企業さんへの楽曲提供など含めると今迄に80曲以上は制作してきましたが、これまでの活動を振り返った時に個人名義でアルバムを作ったことがないことに気づいたんです。

タイトルに掲げられた「Keep on groovin’」にはどのような意味が込められているのですか?

石野卓球さん(電気グルーヴ)とのメールのやりとりから引用した言葉です。DJ業界では「グルーヴを止めない」っていう意味合いなので、コロナ禍でも音楽を楽しむ気持ちを持っていて欲しいという想いを込めました。

今回のアルバムにはどんな特徴がありますか?

踊れる音を作ろうと、ダンスミュージックを軸に制作しました。DISC1はオリジナル曲と普段関わっているアーティストの方々との共作を中心に収録、DISC2には昨年デジタルでも配信した曲を収録しています。

制作の過程で工夫したことはありますか?

いい曲ができたから配信サイトに載せるっていうのは簡単にできるんですけど、アルバムだとトータルで仕上がりを考えないといけない。だったらいつもと違う方法で作ろうかなと思って、普段はだいたい曲を作ってからタイトルをつけるんですけど、今回はタイトルを先に決めてから、制作に取り掛かりました。だからいいフレーズが出来てもタイトルにそぐわなければ採用せず、曲名に合う物を採用したりもしました。

気に入っているタイトルはありますか?

DISC1に収録している「Avant」ですね。僕はアニメをよく観るんですけど、アニメ用語で1作目が終わって、2作目の本編の前に挟む1作目のダイジェストを「Avant」っていうんですよ。この言葉はアルバムを作るときにつけようとずっと寝かせといたくらい気に入っていて。25年経ってこうなりましたという意味を込めてイントロの曲につけました。

様々なアーティストやDJと共作されていますね。制作を通して思い出に残っていることがあれば教えてください。

僕が軸を作って向こうで展開してもらう時もあれば、こっちで全部作って向こうに壊してもらってまた構築してもらう場合もあって、全員曲の作り方が違うんですよ。だから自分にない特徴を引き出してもらえるのは面白かったし、同じ機材を使っていても使い方が違うので勉強にもなりました。

特に印象に残った出来事はありますか?

SUGIURUMNさんとの制作ですね。最初、僕がSUGIさんに気を使ったリズムを作って送ったら、SUGIさんからも気を使った音が戻ってきたんで、結果的にできあがったものは面白くなかった。どっちもわくわくしてなかったんです。だから電話で「一回ぶっ壊します」って言って好き勝手やったんですよ。そしたらSUGIさんものってくれて。「これだったら発想が湧く」って言ってくれました。破壊と構築じゃないですけど、作って壊してを繰り返して曲のレベルを上げることができました。

ユニット活動との違いはありましたか?

ユニットで作る曲との違いを見せたかったので、なるべく同じ機材を使わないようにしました。なので、いつもとは違う音の艶とか質感を感じてもらえると思います。メロディーが少なく、リズムの方が強くなったかもしれないですね。

違いはジャケットからも感じられますね。

ユニットのときはミニマルがテーマだったので無機質なデザインだったのですが、こっちは逆に人間らしさを出したかったので、革を使って生々しいデザインにしました。僕が革製品が好きなこともあっていつも革のオーダーメイドを頼んでいる、アパレルショップのFETISHさんにイメージを形にしてもらって。それをあえてカメラマンを使わず、革の性質を知っているオーナーの板倉君に撮ってもらいました。色を飛ばして陰と陽を表現するなど、生々しさを感じられる仕上がりになったと思います。ちなみにDISC2の「FETISH」という曲はお店をイメージしてつくりました。

最後に読者へのコメントをお願いします。

アルバムにはリード曲ってあると思うんですが、僕は聴いた人が決めるものだと思っていて、決めていないんです。なので「Keep on groovin’」を聴いた方には、自分だけのリード曲を見つけて欲しいと思っています。

PROFILE

KAI(PHAN PERSIE, ONEWORD RECORDS)

1996年より地元新潟でキャリアをスタート。1999年よりレギュラーを務めた@Under Water Bar Prahaでは8時間SETを約4年間続け、KAIの実力を印象付けた。トライバル、パーカッションを軸にしたテックハウス、テクノ、ハウス等を独自の展開で成立させ、セオリーに捕らわれない選曲とグルーヴ・ルーティーンを意識したプレイを得意としている。レジデントパーティー『LOSTRAIN』を軸に、東京都内クラブをはじめ、全国各地よりDJのオファーを受け活動を展開。2009年よりグラフィックデザイナーTAWARAとのユニットPHAN PERSIE(ファンペルシー)名義で、日本、ドイツ、スペインのレーベルなどオリジナルやリミックスなどこれまでに40タイトル以上をリリースしている。2016年には自らが主宰するダンスミュージックレーベル「ONEWORD RECORDS」を設立、ドメスティックシティ新潟からの自己発信を試み、2017年には待望のファーストアルバムCD「AMORPHISM」をリリース。2019年個人名義でも本格的に楽曲リリース始動。2021年5月5日にKAI名義で2枚組アルバムCD「Keep On Groovin’」をリリース。

INFORMATION

Keep on groovin
ONEWORD RECORDS : http://1word.in/rec/040.php
KAIオフィシャルサイト : http://phanpersie.com/kai